気圧差と痛み

気圧差と痛み

シロハ便り 第149号 2021年6月

 

気圧差と痛み

 

 今年は3週間くらい早く梅雨入りしている所もあり、おかしな陽気が続いています。

 

 天気予報などで、平年並みの気温とか平年では降水量はどのくらいとか聞きますが、その平年の基準は10年ごとに更新されています。

 

 今年はその年にあたっていて、現在は、1981?2010年の30年間を基準としていますが、今年からは1991?2020年の30年間の基準に更新されます。

 

 今と30年前ですら、ずいぶん違う気がしますが、もう平年の基準はあってないようなものじゃないかと思うくらい最近の気候変動はおかしいですね。

 

 身体もついていくのが大変なわけです( ;∀;)

 

気圧差と痛み

 

 天気が変わる時、頭痛がしたり眩暈がしたり、膝や腰が痛くなったり、身体の不調を感じることがあります。最近では気象病とも言われており、その専門外来もあるくらいです。

 

 特に近年の気候変動によって季節の変わり目に不調を訴える人が多くなっているように思います。 昔から季節の変わり目には体調を崩す人は多かったのですが、その傾向と症状が年々強くなっている実感があります。

 

 この体調変化の大きな要因は気圧差にあります。 今年の冬から春にかけて、風の強い日が多かったと思いませんか?

 

 高気圧と低気圧の気圧差が大きいほど強い風が吹きます。 そして、この気圧の差によって身体には様々な変化が起こり、体調にも大きな影響を与えます。

 

 天気が崩れて雨が降ると体調を崩すと思っている人も多いですが、実際は晴天が続いた後の雨の降り始める直前に、一番体調の変化が大きく出る傾向があります。

 

 これは、低気圧が体調に悪影響を与えているようにみえて、実は身体はその前の高気圧でかなりいじめられており、そこから気圧が変化するタイミングで体調に影響が出てくるからです。

 

 つまり近年の温暖化の影響で、ゲリラ豪雨や強烈な低気圧が頻発していますが、その分、高気圧も強力になっていて、その高気圧にさらされた身体がかなりの無理を強いられているのです。

 

 強力な高気圧にさらされるということは、身体が外気圧によって強く圧迫を受けるということになります。 その時、そのままでは身体がしぼんでしまうので、身体の内側からも適正な圧力で押し返す必要が生じます。

 

 外気圧が強ければ強いほど、同じように内側からも強く圧力をかけて調整をしなければならず、その間にある身体の表面の細胞は内外両面から強く押し付けられる状態になります。

 

 これにより、血圧も上昇します。 水の出ているホースをギュッと握ると水圧が強くなり水の勢いが増すのと同じ原理です。

 

 同じように、血圧の上昇に伴って血流の速度も速くなります。 すると身体には一種のドーピングがかかった状態になり、いつもより身体は動きやすくなります。 天気がよいとやる気も出て身体も快調に動くのはこのためです。

 

 しかしこの状態はドーピングがかかった状態なので、身体は無意識のうちに無理がかかりそれなりのダメージを蓄積していきます。

 

 それでも通常状態で身体のメンテナンスが充分であり健康な状態ならば、ほとんど問題はありません。 けれども慢性的に疼痛をどこかに感じていたり、慢性的に疲労が蓄積していたり、日常的に強いストレスにさらされていれば、このドーピング効果は身体を痛める大きな原因になります。

 

 高気圧で覆われた晴天が続いた後、低気圧が近づいてきた時、つまり気圧の変わり目になると今度は身体にかかる外圧が低下します。 それに合わせて内側からの圧力も弱めていくように脳幹と自律神経で調整を行うのですが、気圧差が大きいとこの作業が急激に行われることになります。

 

 ここで上手く調整できればよいのですが、身体に元々の不調がある場合などは身体全体でバランスよく調整することが困難になります。

 

 この時に古傷が痛くなったり、頭痛や眩暈が起きたりしやすくなります。 また、このような状況が繰り返し起こることで、脳幹と三半規管に過負荷がかかり緊張状態が続くことで、頭と首の付け根付近の細胞が硬くなっていきます。

 

 その部分にはちょうど頸椎1番があり、その付近の細胞が緊張し硬くなることで頸椎1番を強く引っ張り動かしてしまいます。

 

 頸椎1番が大きく動くとそれだけでも脳と身体を繋ぐ神経を圧迫します。 脳幹が身体の調整を行う時、電気信号を送って自律神経を動かすのですが、頸椎1番の神経圧迫はその電気信号を乱します。 結果、自律神経も反応が悪くなり乱れるということになります。

 

 自律神経が脳幹の指令通りに動きづらくなれば、高気圧の時に内外両面から圧迫を受けて緊張し硬くなっている細胞を、緩めるための副交感神経の働きも悪くなります。

 

 本来、低気圧の時は、身体の内外からの圧迫が緩むので身体を休ませることができるのですが、高気圧の時に緊張させた細胞を充分に緩ませることが出来ない所が生じれば、緊張の緩んだ細胞と緊張し硬いままの細胞の間に差が生まれます。 特に古傷の部分や慢性的に凝りや張りの強い部分がそうで、ここに痛みが生じることになります。

 

 この現象は、気圧差が大きければ大きいほど強く現れます。 年々、天候の荒れ方がひどくなっていますので、この傾向は今度ますます大きくなるでしょう。

 

 そこで大切になってくるのは、やはり日頃からの身体のメンテナンスです。 特に痛みなどがなく、調子のよい時にどれだけしっかりとしたケアが出来るかが、極めて重要になってきます。

 

 いつも僕は口を酸っぱくして言っていますが、また同じことを強く言います。 ぬるめのお湯で30分の半身浴を必ず毎日行いましょう。 手足を上げて15分の毛管運動を毎日行いましょう。 身体を引っ張る静的ストレッチはNGです、ラジオ体操などの動的ストレッチなら大いに推奨します。 過負荷にならない適度な運動ができればなおよいです。

 

 これらはなぜ必要かと言うと、常日頃から身体の細胞1つ1つに充分に栄養と酸素を送っておくことが絶対に必要だからです。

 

 つまりこれらのメンテナンスは、細胞に栄養と酸素を供給するための末端の毛細血管を元気にし、詰まりを解消するために一番効果的なメンテナンス方法だからです。

 

 どんなに気象状況が変化しても、環境変化が起こっても、身体を構成する細胞が元気ならばなんとかなります。

 

 その細胞に栄養と酸素を送る導線をしっかりとケアしていれば、気圧差がそれほどまでに健康に影響を与えることはないはずです。

 

 身体とは、健康とは、特別な何かで健康になったり不調になったりするものではありません。 細胞の集まりである身体の総合力の勝負です。

 

 日々のケアこそが最強の健康ツールであり、体調の良い時にどれだけメンテナンスができるか、そして何を最優先でケアしなければならないのかが、後々大きな差になっていきます。

 

あとがき

 

 気圧の変化に伴う体調不良が起きた時、耳を触ってみてください。 たぶん耳が冷たくなっていると思います。気圧の変化を三半規管で認識し脳幹で対処していますので、その部分の緊張が強くなり頭と首の付け根辺りが固まっています。

 

 そこが硬くなって血流が悪くなると耳も血行が悪くなり冷たくなります。 そこで耳を引っ張ったり、耳を持ってグルグル回したりして温めてみてください。

 

 耳の血行が良くなり血液が回り始めると、直結している三半規管の緊張もほぐれてきます。 それが脳幹の緊張もほぐしてくれますので、自律神経の働きも若干ですが回復してくる可能性があります。 試してみてください。

 

 後頭部の頭と首の付け根の奥に頸椎1番があります。 その部分が硬く緊張するとその頸椎1番を引っ張ってしまいズレを起こします。 気圧の急激な変化やストレスが強いと頸椎1番はズレを起こしやすくなることは古くから知られていました。

 

 身体のバランスを心身ともに狂わす頸椎1番のズレをなるべく防ぐためにも、日頃の身体のメンテナンスとストレスケアは大切にしてくださいね。