スペイン風邪から学ぶこと

スペイン風邪から学ぶこと

シロハ便り 第137号 2020年6月

スペイン風邪から学ぶこと

 

 2020年に新型コロナウイルスのパンデミックが起こったわけですが、それより100年前の1918年にスペイン風邪のパンデミックが起こりました。

 

 スペイン風邪と言うからには、スペインで、たちの悪いウイルスが流行して、それが世界中に広がったのだろうと思っていましたが、実は、そうではなかった。

 

 今回の新型コロナウイルスのパンデミックと比較してみると参考になることが多いので、少し比べてみましょう。

 

スペイン風邪から学ぶこと

 

 今回の新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)と100年前に起こったスペイン風邪のパンデミックでは共通点が多いと言われています。

 

 スペイン風邪の時は、当時の世界人口の3分の1の5億人が感染して、死者は2000万人から1億人いたという説まで、統計も正確に取れていないのでよくわかっていないほどです。

 

 ところで、スペイン風邪とは何ぞやということですが、要はスペインインフルエンザ、つまりインフルエンザです。

 

 近年の研究によって、このスペインインフルエンザはH1N1亜型インフルエンザウイルスだと分かりました。このH1N1亜型インフルエンザウイルスは2009年にパンデミックになった新型インフルエンザと同じ型です。

 

 スペイン風邪は、第一次世界大戦の真っ只中の1918年3月から6月が第一波、同年9月から第二波と続き、同年11月の第一次世界大戦の終戦を挟み1919年3月から9月が第三波、そして終息まで2年かかっています。 世界的大流行から集団免疫を獲得して終息を迎えますが、スペイン風邪よる死者は甚大な数におよび、それが第一次世界大戦の終息を早めたとも言われています。

 

 そして、それから90年後に新型インフルエンザとして再度パンデミックを起こしていることになります。

 

 さて、このスペイン風邪ですが、そう言うからにはスペインで始まったインフルエンザだと思いますよね。

 

 僕も今回初めて知ったのですが、このインフルエンザの発生源は諸説あり歴史的にも疫学的にも特定できていないそうです。

 

 発生源として指摘されているのはいくつかあり、 “アメリカのカンザス州で流行したもの” “カナダの鴨のウイルスがイリノイ州のブタに感染したもの” “フランスのエタプルにあったイギリス陸軍の駐屯地で流行したもの” “中国に由来するウイルスがアメリカのボストン近郊で変異したもの”などがあります。

 

 アメリカ疾病予防管理センター (CDC)は1918年パンデミックとの関連性は不明としていますが、複数の研究者によって、カンザス州のハスケル郡で1918年1月に発生した病気の流行がスペインかぜの起源と言われていて、同年3月からの世界的パンデミック第一波はここから始まり、アメリカ軍のヨーロッパ進軍と共に大西洋を渡り、5月から6月にヨーロッパで流行したという説が有力のようで、この前テレビの番組でも堂々とこの説で解説をしていました。

 

 各国で広がったこのインフルエンザは、初めは症状も軽く済んだので、流行していても戦争中だったため、情報統制がされていました。

 

 しかし、第一次世界大戦では中立国であったスペインが、おかしな風邪が流行しているぞと初めて公表したためにスペイン風邪と言われるようになってしまったという経緯があります。

 

 スペイン風邪の第一波は症状も比較的軽く回復する人も多かったようで、今回のコロナも当初は似たような評価もありましたね。

 

 そして、1918年の9月に第二波が来ました。 この時、ウイルスが変異し強毒化して世界中で爆発的に死者が増えました。

 

 今回のコロナも武漢型から変異した欧州型が強い毒性を持ち、日本でも武漢型の終息は早く、その後のクラスター感染は欧州型だったとも言われています。

 

 新型コロナウイルスの名称も世界保健機関(WHO)がCOVID-19と正式名称としたことで、中国よりだとか、武漢コロナだ中国コロナだと呼ぶ国もありました。

 

 新型コロナウイルスの起源をめぐって米中で対立して、武漢にあるウイルス研究所から漏れたんだろうとか、いやアメリカ軍が持ち込んだとか、武漢で流行する前に他国の地域で同じような肺炎が起こっていたとか、言い合っています。

 

 中国の言い分だけを聞いていると、何を言ってるんだと思いましたが、スペイン風邪の歴史的経緯と背景から考えてみると、そう言い返したい気持ちも分かるような気もします。

 

 つまり、ウイルスに関して言えば、こんなこと言っていてもしょうがないってことと、政治がからんでくるのはどうしようもないってことになります。

 

 しかし、ウイルスはいつどこで流行しだすかは誰にも予測ができず、その情報もいつ正確に入ってくるのかは分からないということは確かです。

 

 100年前のスペイン風邪のパンデミックも今回の新型コロナウイルスのパンデミックでも、対策としてはほとんど変わっておらず、外出制限と手洗い、消毒、うがい、学校や集会やイベントの閉鎖などで、終息には免疫ができるのを待つかウイルスの弱体化かワクチンが出来るかしかありません。

 

 それでも、そのウイルスがなくなるわけではないので、数年先か数十年先か、またパンデミックを起こすことも充分あり得るのです。

 

 今回のコロナも第二波、第三波はあるものと思って行動することは必須で、動かしがたい事実として覚悟しておいたほうがいいし、その影響を最小限にするための行動をどれだけ皆で出来るかが鍵となります。

 

おすすめ

 

 いつまでもウイルスにやられっぱなしではいられない。 世界中で新薬やワクチン開発が行われています。

 

 その中で日本も色々がんばっていて、とても魅力的なものがいくつもあります。 メディアでも取り上げられているダチョウもその1つです。

 

 ダチョウはウイルスにめっぽう強く驚異的な免疫力をもっていて、その抗体がダチョウの卵に大量に含まれているそうです。 そこからコロナウイルスに結合して感染力を大きく抑制するダチョウ抗体を作製することに成功していて臨床実験も行われているそうです。

 

 そのダチョウ抗体をつかったマスクも販売されていて大人気らしいですよ。

 

 ダチョウ抗体マスク(R) こちらの公式サイトから https://www.koutai-mask.com/

 

あとがき

 

 ダチョウもすごいけどアルパカも注目されていて、花王と埼玉大学関連ベンチャーEpsilon Molecular Engineering、北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学T研究室の研究チームが、アルパカ等のラクダ科動物由来のVHH抗体は新型コロナウイルスの感染を抑制・中和し、判別する特異性があることを見つけ、治療薬と診断薬の両面で活用できると期待されています。 がんばれ、ニッポン!

 

 

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