酷暑下で体の表面はどうなっている?

酷暑下で体の表面はどうなっている?

シロハ便り 第175号 2023年8月

 

酷暑下で体の表面はどうなっている?

 

 危険レベルの酷暑が続いていますね。

 

 とにかく、体が今までに経験したことのない暑さにさらされていますので、その影響は測りしれません。

 

 熱中症対策は、もう耳にタコができるほど聞いていると思いますので、しっかりと注意を払って行っていきましょう。

 

 耳にタコかもしれませんが、水分補給と塩分補給ということはみなさんご存知ですよね。

 

 でも、ここにもう1つ、盲点があることをご存知でしょうか?

 

 それは、カリウムの不足も補うということです。 細胞は、塩からのナトリウムイオンと、もう一つカリウムイオンによって動いているといっても過言ではなく、両方必要なのです。

 

酷暑下で体の表面はどうなっている?

 

 この連日の酷暑の原因は、2重に重なった高気圧のせいです。 太平洋高気圧にチベット高気圧が被さって、熱が蓋をされている状態です。

 

 その原因は、やはり温暖化による海水温の上昇でしょうから、毎年のように異常な暑さがひどくなっていくことは容易に想像できます。

 

 もう、すぐにはどうにもならないので、暑いのはしょうがないとして、そこからくる体への影響を知ることで、なんとか対処していくしかないです。

 

 この酷暑によって起こりやすい体の症状として、筋肉が攣る、頭が重い、だるい、食欲が出ない、など様々あります。

 

 この中でも、暑いのに体の筋肉が硬くなり、体の重さや足のだるさなどの不快感が出たり、筋肉が攣ったりする現象は、気圧の高さに関連があります。

 

 高気圧はご存知のとおり、大気の重さが重くなります。 体の全方向から強い圧力を受けるのが高気圧の特徴です。

 

 高気圧は下降気流になっているので、大気の密度が高くなり圧力が高まります。 イメージとしては、注射器の先に蓋をして、ピストンを押しているような状態です。 すると注射器の中の空気は圧縮されて圧力が高くなりますよね。 それと同じ状況です。

 

 すると、体も外から押される圧力が強くなると縮みます。 なのでそうならないように、自律神経で調整をし、体の表面を内側から押し返す圧を高くして押し戻しています。

 

 そうなると、高気圧が強ければ強いほど、体の表面は内側と外側から、より強い圧力で押され続けることになります。

 

 これらの条件が重なって、血圧も高くなり、体の表面の筋肉にも過負荷がかかるようになります。 つまりオーバーワークを強制されているような状態です。

 

 加えて、汗により体の中の塩分とカリウムが出て行ってしまうと、細胞を動かしているタンパク質が動かなくなっていきます。

 

 この細胞を動かすタンパク質のしくみは難しいので詳しい説明は省きますが、簡単に言うと、1つの細胞の中には約10万個ものタンパク質が入っていて、そのタンパク質とはアミノ酸が数珠つなぎになっているのですが、ナトリウムイオンとカリウムイオンのプラスの電荷がタンパク質のアミノ酸にくっついたり離れたりして、プラスとマイナスイオンの反発や引き合う力で、タンパク質の形状を変化させています。

 

 その変化が、1秒間に数百回起こっていて、その変化でタンパク質が動き、それが歯車のように噛み合って、モーターを回すような原動力になり細胞を動かしています。

 

 つまり、細胞を動かすのには、ナトリウムイオンとカリウムイオンが絶対に必要で、しかもバランスのよい濃度で体に存在していなければならないということです。

 

 ナトリウムイオンは、塩分補給で補うことが熱中症対策で必要と、みなさんご存知だと思いますが、カリウムの補給も同じくらい大切だとは、あまり知られていないのではないでしょうか?

 

 この酷暑で、強い高気圧によって、体の特に表面に近い肌細胞や筋肉は、オーバーワークを強いられていて、その上で、その細胞を動かすために必要なミネラルイオン(特にナトリウムイオンとカリウムイオン)が汗で抜けて行けば、その肌も筋肉も硬くなっていくのは当然と言えるでしょう。

 

 また、暑いので涼しいクーラーの効いた所でじっと動かない時間が増えれば、筋肉の運動で動いていくはずのリンパ液が動かずに滞るようになります。

 

 その上、外の暑さと部屋の中の温度差も大きく、それも自律神経の調整に負担をかける原因となり、体調を狂わす要因にもなります。

 

 酷暑の暑さ、高気圧による細胞のオーバーワーク、ミネラルイオン不足による細胞の不活性、リンパ液の流れの悪さ、温度差による自律神経の負荷、などが折り重なって様々な体調不良に繋がり、危険な熱中症にも繋がっています。

 

 これらを考慮の上、みなさんそれぞれの体調に合わせた対策が必要ですので、とにかくこの時期は注意深く体を労わることを念頭においてお過ごしください。

 

 しっかり睡眠をとること、疲労や重さやだるさを感じたら無理をしない、水分だけでなくミネラルをバランスよく摂取する、ぬるいお湯でしっかり半身浴をしてクーラー冷えを取っておく、暑さに注意しながらも体を適度に動かす(もしくはらくらく毛管運動を行う)、野菜やタンパク質、脂質、炭水化物のバランスのよい食事をしっかり摂る、など基本的な生活習慣こそが、今後もひどくなっていくであろう酷暑から身を守る上で最善です。

 

おすすめ

 

 カリウムを最も多く含む食材は、「ずいき」です。 ずいきとは、八つ頭とかいろんな里芋の葉柄(ようへい)のことで、葉っぱを支えている柄の部分です。 ずいきを乾燥させたものを芋がらといいます。 芋がらの方が馴染みのある名前ですね。

 

 芋がらを煮物などにして食べていた昔の食事には、健康にとって極めて合理的な素晴らしい栄養素が含まれていたのです。

 

 ちなみにわかめとか昆布もカリウムが豊富です。