僧帽筋にかかる負担
シロハ便り第114号 2018年8月
連日の酷暑、特に今年の暑さは異常です。気象庁の長期予報では、短いスパンで、冷夏と猛暑が繰り返され、平均気温はどんどん上がっていく気配らしいです。
温暖化が原因ですが、今年の酷暑の一番の原因は強烈な太平洋高気圧です。 気圧が高いので、上から蓋をされているような状態になり、夜に
なっても気温が下がっていきません。
体への影響は熱中症だけではありません。 高気圧によって体にかかる気圧が強くなるので、体の内側からも押し返しており、内外から締め付けられる筋肉は緊張が強くなります。
気温が高いと筋肉は緩むと思いがちですが、逆に筋肉の緊張は強くなり特に古傷が痛む現象が起きます。 私も去年手術した右ヒザに1日だけ痛みが出ました。 皆様も無理をせずお気を付けください。
僧帽筋にかかる負担
下を向いて何かをしている時間ってかなりあると思います。 勉強したり本を読んだり、事務仕事やパソコン仕事、農作業や草むしり、料理や洗い物、スマホを見ている時など、かなりの時間下を向いています。
その時に肩から肩甲骨、背中にかけての僧帽筋にどのくらいの負担がかかっているかご存知でしょうか?
頭の重量は5〜7kgと言われています。 仮に6kgだとして、首を15°下に向けると僧帽筋にかかる重さは12kgにもなります。 首が30°傾くと僧帽筋には18kg、45°傾くと22kg、60°傾くと27kgもの重さが僧帽筋にかかります。
その状態で長時間いれば、肩・肩甲骨・背中がきつくなるのは、火を見るよりも明らかです。 そこからまた派生して、腰回りの筋肉も硬くなります。
特にデスクワークをしている人は、最低でも30分に1度は立ち上がり、ふくらはぎを動かすために歩きまわったり、踏み台を昇り降りしたり、肩を回して肩甲骨を動かす体操をしたり、背中を伸ばすように何かにぶら下がったり、何かした方がいいです。
スマホやゲームを長時間やっている子供さんは本当に注意した方がいいと思います。 健康被害は目が悪くなるだけに留まらず、どこまで影響が及ぶか想像もできないほどです。
椅子に座ってうたた寝をしている人や電車の中で寝ている人を見かけますが、頭を垂れて寝ている姿勢はかなりまずいので、注意してください。首がほぼ直角に曲がって頭が垂れていますので、首・肩・背中にかかる重量は30kg以上でしょう。
毎年会津に行って買ってくるお米の袋1つが30kg、家で使っているウォーターサーバーの水のボトルが5ガロンで約20kgです。そんなもんが背中にぶら下がっていると思ったらゾッとします。
よく、姿勢が悪くなるのはバッグを片側だけにかけて持っているからでしょうか?と聞かれることがありますが、逆に聞きたい、あなたのバッグは30kgもありますか?と。
なぜ、首がズレてくるのでしょうか?ともよく聞かれますが、いやいや、自分の生活を見てみれば、ズレない理由の方がないでしょう。そのくらいの負担を日常生活の中で負っているのです。
しかも、上記の僧帽筋かかる重量は、健全な骨格の人が基準になっています。そもそも頭を支えている頸椎がズレていれば、いくら姿勢をよくしようと努力しても、何もしていなくても体にかかる負担は非常に大きなものになります。
その上で、首を傾け頭が垂れる状態になれば、さらに複雑に変な所に負担がかかりダメージを負います。
さらに、このダメージをもっと深刻にしているのが運動不足です。 背中の筋肉のハリや痛みは以外と分かりずらく、自覚症状がないので気が付きにくいです。 そして、そこを意識的に動かして筋肉のコリをほぐそうとはなかなかしないものです。
そこで、当院では新たな試みとして、背中も施術することを始めました。 施術といっても背骨に沿って刺激を与えていくだけですが、首からしっかり調整しているので、筋肉の緊張が大幅に緩和されます。 その上で、さらに首の微調整を行うと首から背中にかけての背骨ライン全体に影響が及び、相乗効果が出やすいと判断しています。
皆さん、背中を押されて、意外に痛点があることを自覚していなかったことに驚かれます。 そして何より気持ちいいようです♪
始めたばかりでこれから検証していくことになりますが、おそらく、背中の緊張を充分緩めることによって、頸椎での施術効果は格段に高くなり、よりよい状態がさらに続きやすくなるのではないかと思っています。
私の施術のやり方は、無理やり骨格を矯正したり調整したりするものではありませんので、何も頸椎だけにこだわる必要はないと最近思い始めました。
今後、腰の方まで刺激をしていくかは検討課題にさせて頂きます。 その方がよければ取り入れますが、こちらの体力との兼ね合いも含めて検討していきます。 けっこう施術範囲が広がるとエネルギーの消耗が激しいです。 1日の施術可能人数に影響が出るかもしれませんので、ご予約はお早目に頂けましたら幸いです。
おすすめ
熱中症対策に経口補水液という言葉をよく聞くようになりましたが、要は飲む点滴のようなもので、水と塩分とブドウ糖を混ぜたものです。 これを簡単に作るなら、500mlの水に1.5gの食塩と20gの砂糖を溶かすと出来るのですが、砂糖はブドウ糖と果糖が硬く結合した二糖類というもので消化吸収が悪く分解するのに大量のミネラルを消費するのであまりお勧めできません。
その代わりにハチミツを使うと理想的な経口補水液が出来上がります。500mlの水に1.5gの食塩と大さじ2杯のハチミツを溶かします。
ハチミツは、ミツバチの体内で唾液酵素などにより、ぶどう糖と果糖との単糖状態に転化されたものです。単糖状態であれば消化吸収がよく胃に負担もかけず、何より血糖値を一定に保つ働きもあります。
ぜひ、試してみてください。
あとがき
ゲリラ豪雨が激しさを増す傾向にあるらしいです。万が一、車が水没して動かなくなってしまった時に、脱出方法を1つ覚えておくといいと思います。車の窓ガラスを割って脱出する方法で、座席のヘッドレストを引き抜いて金具の部分をドアとガラスの間に差し、こじると簡単に割れるそうです。
こんな豆知識を使う日が来ないに越したことはないですけどね。
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