光免疫療法

知っておくべき『光免疫療法』

シロハ便り 第166号 2022年11月

 

知っておくべき『光免疫療法』

 

 急に寒くなりました((+_+))
 この急激な気温の変化に体調を崩されている人も多いと思います。

 

 それでも、今、これを書いている時点で、台風が発生し、進路によっては影響があるとか言っています。

 

 今年はラニーニャ現象になるらしく、海水温が温かい場所がエルニーニョとは違ってくるので、気象も安定しづらいと思います。

 

 エルニーニョの時は、冬は安定して寒くなり、寒い割には関東では雪が少ない印象がありますが、ラニーニャの時は、寒暖差が激しく、雪も降る時は大雪になったりする感じがします。

 

 近年の気象の変化の激しさは、もうどうしようもないので、普段からそれに負けない自分の体調作りをしっかりやっていきましょうね。

 

知っておくべき『光免疫療法』

 

 最新のがん治療法として注目を集めている『光免疫療法』というのがあります。 

 

 従来のがん治療には、手術療法・化学療法・放射線療法・免疫療法などがありましたが、この第5のがん治療法として出てきた、光免疫療法はそれまでの治療法でのデメリットがほとんどなく、しかもとんでもない機能を治療後も発揮していきます。

 

 ぜひとも知っておいて頂きたい、光免疫療法を出来るだけ簡単に説明してみたいと思います。 

 

 まず、がん細胞にだけ吸着する薬剤を投与します。 この薬剤は、がん細胞の表面に多く出ている抗原にくっつくタンパク質に光に反応する物質をつけたものです。

 

 この薬を点滴で投与すると、1日くらいでがん細胞にたくさんくっつくそうです。 それからそこに、正常なヒト組織にはほぼ害を与えない近赤外光を照射すると、がん細胞が破裂して死滅します。

 

 抗がん剤のようにがん細胞も壊すけど健康な細胞も壊してしまうようなリスクがなく、がん細胞だけを狙い撃ちできるので、身体への負担は大幅に減少します。

 

 そして、それからがまたすごい! そもそも人体の中では健康な人でも毎日がん細胞が数百から数千個は出来ていると言われています。 それを自分の免疫が攻撃して破壊しています。

 

 加齢などから自分の免疫力が落ちることで、日々作られているがん細胞が取り除ききれなくなり、体内にがんが発生するということです。

 

 しかし、この光免疫療法では、破壊したがん細胞の破裂した破片に、そのがん特有のがん抗原が含まれていて、それが周囲にばらまかれることにより、そのがんの近くにいる免疫細胞がそのがん抗原を取り込みます。

 

 すると、これがワクチンのような働きをして、免疫細胞がそのがん細胞に対する免疫をもつようになり、壊したがん細胞と同じ細胞に対して免疫力が活性化されます。

 

 その結果、たとえそのがんが転移していたとしても、転移したがんを免疫細胞が見つけ出し、その転移したがん細胞を攻撃することが出来るようになります。

 

 また、ワクチンと同じように、そのがん細胞に対しての免疫力を獲得するので、同じがんが再発しないように予防効果も期待されるそうです。

 

 この治療法のもう1つの利点は、治療開始から終了までの時間がすごく短いことです。 入院して術前検査をし、薬剤を点滴してがん細胞に充分くっつくまで1〜2日、その後、光を当てて治療し、経過を見て退院まで、およそ1週間で済むそうです。 

 

 もちろん歩いて来て歩いて帰れるということで、手術をするより遥かに楽ですよね。

 

 現在のところ、この光免疫療法は、頭頸部がん(舌がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、鼻副鼻腔がんなど)に限り行われているそうですが、将来的には様々ながんに適応されていくと期待されます。

 

 この光免疫療法は、アメリカ国立衛生研究所で研究をすすめておられる小林久隆先生が開発され、楽天メディカル社が後押しして発展した、光免疫療法「頭頸部アルミノックス治療」という方法で、国から認可された保険適応のある治療法です。

 

 日本では、関西医科大学附属病院で、2022年4月から、「光免疫医学研究所」が設置され、耳鼻科主体の光免疫療法センターで患者さんの治療にあたっているそうです。

 

 この小林先生がテレビ番組でインタビューを受けていたのですが、その時、メディア初公開の情報をお話されていて、光免疫療法で、がんと同じように老化細胞も破壊できるとおっしゃっていました。

 

 体内には老化の原因となる老化細胞が全体の10%ほどあるらしくて、それを破壊できれば老化を防止することができ、寿命がさらに延びていく可能性があるそうです。

 

 日本人の死因の第1位はがんです。 

 

 それが簡単に治療できるようになり、転移や再発の心配がないレベルで完治し、しかも老化細胞まで取り除けるなら、本当に寿命が120歳という時代が来るかもしれません。

 

 ただ、いくら寿命が延びてもそれを楽しめなければありがたさが半減しますので、いかに健康寿命を延ばすかも大切です。

 

 年齢が進むほどにメンテナンスは必要となってきますので、しっかりとケアをして、安心して長生きできるようにしましょうね。

 

おすすめ

 

 2024年に新しい1万円札が発行されます。 その顔として登場するのが、去年の大河ドラマにもなった渋沢栄一です。

 

 そのお孫さんにあたる鮫島純子さんが書いた本が、とっても素敵です。 

 

 御年100歳にして、幸せな一人暮らしを満喫されているそうで、健康に長生きする秘訣とか、その楽しみ方とかを100歳にちなんで100の短文にまとめられています。

 

 何かと生活の中で気が滅入ることがあったり、うまくいかないことがあっても、それらを全て乗り越えて幸せに長生きしてきた人の言葉には真実がいっぱい詰まっています。

 

 「年をとるほどに明るく元気になる生き方」と、本の帯に書いてありますが、ぜひ読んでみてください。